入浴支援加算の要件と算定(放デイ70単位)実務ガイド
放課後等デイサービス(放デイ)の入浴支援加算(70単位/回)は、該当する児童に入浴支援を行った場合に算定できる加算ですが、「誰に」「どんな支援をしたとき」に算定できるのか、記録は何を残せばよいのか、現場では意外と迷いが多い加算です。本記事では、算定要件・対象の考え方・よくある算定ミス・記録実務のポイントを、放デイ・児発の実務目線で整理します。
- 入浴支援加算とは:放デイ70単位の位置づけ
- 算定要件:「入浴支援」として認められる支援の範囲
- 対象となる児童の考え方
- 計画への位置づけと事前準備
- 記録として残すべき事項
- よくある算定ミスと注意点
- 児童発達支援との比較
- 現場チェックリスト
1. 入浴支援加算とは:放デイ70単位の位置づけ
入浴支援加算は、放課後等デイサービスにおいて利用児童に対して入浴支援を行った場合に、1回につき70単位を加算できる仕組みです。令和3年度報酬改定で創設され、令和6年度改定でも単位数・基本的な要件の枠組みは継続されています。
入浴支援は、清潔保持が難しい障害のある子どもへの生活支援として重要な取り組みです。一方で、単に「お風呂に入れた」だけでは算定できません。要件を正確に理解して算定・記録しなければ、指導や返還のリスクがあります。
2. 算定要件:「入浴支援」として認められる支援の範囲
算定の核心は、「単なる見守りではなく、支援者が実際に入浴介助・支援を行っていること」です。以下の要素が揃っていることが前提と考えられています。
(1)支援の実施
- 利用児童が入浴(または清拭・シャワー浴など代替方法を含む場合は通知・自治体見解を確認)を行い、支援者がその支援を実施すること。
- 「入浴できる設備が事業所にある」だけでなく、その日・その児童に対して実際に支援を行った実績が必要です。
(2)個別支援計画への記載
- 入浴支援を行うことが、当該児童の個別支援計画に位置づけられている必要があります。
- 「今日たまたまやった」では算定の根拠が弱くなります。計画にない支援を毎回実施して算定し続けるのはリスクがあります。
(3)設備・衛生管理
- 入浴設備(浴槽・シャワールームなど)が事業所に備わっており、衛生的に管理されていることが前提です。
- 設備の有無・管理状況は指導監査で確認される事項のひとつです。
| 要件の柱 | 確認のポイント |
|---|---|
| 支援の実施 | その日・その児童に対して実際に入浴支援を行ったか |
| 個別支援計画への位置づけ | 計画に入浴支援の実施が明記されているか |
| 設備・衛生 | 入浴設備があり、適切に管理されているか |
| 記録 | 支援の内容・実施事実が記録に残っているか |
3. 対象となる児童の考え方
入浴支援加算の対象は、入浴に支援が必要な障害のある児童です。単に「入浴が好き」「施設にお風呂があるから全員入れる」ということが算定根拠になるわけではありません。
- 身体的な理由(肢体不自由・筋緊張等)から入浴に介助が必要な児童
- 感覚過敏などにより入浴に困難があり、支援者の関与が必要な児童
- 家庭環境等の事情(保護者の疾病等)もあわせて、入浴支援の必要性をアセスメントで根拠づけられている児童
4. 計画への位置づけと事前準備
入浴支援加算を適切に算定し続けるためには、個別支援計画への明記が出発点です。以下の流れで準備を整えておきましょう。
- アセスメント:入浴支援の必要性・支援内容・目標を整理する。
- 個別支援計画への記載:「入浴支援を実施する」旨と、その目的・方法を具体的に記載する。
- 保護者への説明と同意:入浴支援を行うことについて保護者に説明し、同意を得ておく(記録に残す)。
- モニタリング・計画更新:定期的に支援内容を見直し、計画を更新する。
5. 記録として残すべき事項
加算を算定した日の記録には、最低限以下の内容が確認できる状態にしておくことが望ましいとされています。
サービス提供記録に含めるべき内容(例)
- 入浴支援を実施した日時・場所
- 支援を行った職員名
- 支援の内容(浴槽入浴・シャワー浴・清拭など支援の種別)
- 児童の状態・反応(短くてもよいので実態がわかる記述)
- 特記事項(体調変化・ヒヤリハット等があれば)
6. よくある算定ミスと注意点
現場でよく見られる算定上の問題点を整理します。自事業所の運用と照らし合わせてください。
ミス① 個別支援計画に記載がないまま算定している
「保護者から要望があったので始めた」「前任の担当が始めたが計画を更新し忘れた」というケースが多い。次の計画更新を待たずに、速やかに計画に反映させましょう。
ミス② 職員が付き添っただけ(見守りのみ)で算定している
入浴支援加算は、支援者が実際に支援行為を行ったことが前提です。「脱衣所で待機していた」「呼ばれたら行く体制だった」というレベルでは算定の根拠として弱い可能性があります。
ミス③ 全員一律に算定している
「うちはお風呂タイムが日課なので全員算定」というのは誤りです。加算は支援が必要な児童に対して実際に支援を行った場合に算定するものです。必要性の根拠と個別性が求められます。
ミス④ 記録がサービス提供実績表の丸印だけ
実績表に「入浴支援加算」の○がついているだけで、具体的な支援内容の記録がない状態は指導リスクがあります。サービス提供記録と紐づけて管理しましょう。
ミス⑤ 保護者同意の記録がない
入浴は身体的なプライバシーに深く関わる支援です。保護者への説明と同意を取得した記録(重要事項説明書・同意書・面談記録等)は必ず整備してください。
| よくあるミス | 対策の方向性 |
|---|---|
| 計画に記載がない | 次回更新を待たず速やかに計画へ反映 |
| 見守りのみで算定 | 支援行為の内容を記録で明確化 |
| 全員一律算定 | 対象児童ごとに必要性を根拠づけ |
| 記録が実績表のみ | サービス提供記録に支援内容を記述 |
| 保護者同意記録なし | 説明・同意取得の記録を整備 |
7. 児童発達支援との比較
児童発達支援(児発)にも入浴支援加算は設けられていますが、単位数や細かい取扱いが放デイと異なる場合があります。同一法人が放デイと児発を両方運営している場合は、混同しないよう注意が必要です。
| サービス種別 | 入浴支援加算の単位数(参考) | 備考 |
|---|---|---|
| 放課後等デイサービス | 70単位/回 | 本記事の対象 |
| 児童発達支援 | 単位数・取扱いは最新告示を確認 | 放デイと異なる場合あり |
8. 現場チェックリスト:入浴支援加算を適切に算定するために
- □ 算定対象の児童ごとに「入浴支援の必要性」がアセスメントで根拠づけられているか
- □ 個別支援計画に入浴支援の実施が明記されているか
- □ 保護者への説明と同意取得の記録が整備されているか
- □ 支援を行った職員が記録を作成し、支援の内容・児童の状態が残っているか
- □ 「見守りのみ」で算定していないか(実際の支援行為を実施しているか)
- □ サービス提供記録と請求内容が紐づいて管理されているか
- □ 設備の衛生管理記録が残っているか
- □ 定期的なモニタリングを通じて計画を見直しているか
加算の算定漏れ・取り違いを仕組みで防ぐ
入浴支援加算をはじめ、放デイ・児発の加算要件は細かく、改定のたびに変わります。「制度差分ナビ」では、報酬改定の差分を事業種別ごとに整理し、現場が今確認すべきポイントをわかりやすくお届けします。
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