強度行動障害児支援加算の見直し(Ⅰ・Ⅱ)と研修要件
令和6年度(2024年度)の障害福祉サービス等報酬改定では、行動上の課題が大きい児童への支援を評価する「強度行動障害児支援加算」が見直され、従来の一本の評価から区分Ⅰ・区分Ⅱへと整理されました。あわせて、加算を支える人材として強度行動障害支援者養成研修や実践研修の修了が要件に位置づけられています。本記事は、放課後等デイサービス・児童発達支援の現場が「自社で何を確認し、どう記録すべきか」をつかむための実務整理です。
- 見直しの全体像:なぜⅠ・Ⅱに分かれたのか
- 区分Ⅰと区分Ⅱの違い
- 対象児童の判定(強度行動障害の評価)
- 研修要件:養成研修・実践研修の位置づけ
- 支援計画シートと記録のポイント
- 現場が今やるべきチェックリスト
1. 強度行動障害児支援加算の見直し:全体像
今回の見直しの背景には、強度行動障害のある児童に対して、専門的な研修を受けた職員が計画的に支援を行う体制を、より丁寧に評価しようという考え方があります。これまでは「対象児童を受け入れていること」を中心に評価していた部分を、「より専門性の高い研修を修了した職員が、支援計画に基づいて支援しているか」という観点で段階的に評価する方向へ細分化されました。
つまり、対象児童を受け入れているだけでなく、職員の研修修了状況と支援計画・記録の整い方によって算定できる区分が変わってくる、という構造です。「受け入れているから当然取れる」ではなく、要件と記録をそろえて初めて評価につながる点を押さえておきましょう。
2. 区分Ⅰと区分Ⅱの違い
見直し後の強度行動障害児支援加算は、職員の研修修了レベルや支援の専門性に応じて区分が分かれる設計になっています。イメージとしては次のように整理できます。
| 区分 | 評価の対象(イメージ) |
|---|---|
| 区分Ⅰ(より高い評価) | 実践研修修了者等の関与のもと、より専門的な支援を計画的に提供する体制 |
| 区分Ⅱ(基本的な評価) | 養成研修修了者の配置を前提とした、強度行動障害児への基本的な支援体制 |
区分の名称や単位数、細かな要件は告示・通知で定められており、自治体の運用によって確認すべき点が異なります。「どちらの区分で算定できるか」は、自社の研修修了者の人数・レベルと支援内容の組み合わせで決まると理解しておくと整理しやすくなります。
3. 対象児童の判定(強度行動障害の評価)
加算の対象となるのは、行動上の課題が大きく、専門的な支援を必要とする児童です。対象かどうかは、行動関連項目などの指標に基づいて判定されます。実務上は次の点が重要になります。
- 対象児童の判定根拠(指標・スコア・アセスメント結果)を記録として残せているか。
- 受給者証の記載や支給決定の内容と、算定している対象児童が整合しているか。
- 状態像は変化し得るため、判定の見直し・再アセスメントの運用があるか。
「以前のアセスメントのまま」「口頭での共有だけ」になっていると、実地指導で根拠を示せず、算定の妥当性が問われることがあります。判定の根拠は必ず書面・データで残しましょう。
4. 研修要件:養成研修・実践研修の位置づけ
強度行動障害児支援加算を支えるのが、職員の研修修了です。一般に、強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修)が要件として位置づけられています。区分の上位を狙う場合は、より専門性の高い研修の修了者の関与が求められる構造です。
研修まわりで現場が押さえるべきこと
- 誰が、いつ、どの研修(基礎/実践)を修了したのかを一覧で管理しているか。
- 修了証など、研修修了を客観的に示す証憑を保管しているか。
- 退職・異動で研修修了者が減り、要件を満たせなくなるリスクを把握しているか。
- 今後の受講計画(誰を次に受講させるか)が立てられているか。
5. 支援計画シートと記録のポイント
強度行動障害のある児童への支援は、計画に基づいて行われ、その実施が記録されていることが評価の前提になります。具体的には、強度行動障害支援計画シート(支援手順書)に相当する計画を作成し、個別支援計画と連動させ、日々の支援記録に落とし込む流れが求められます。
- 行動の状態像・背景の見立て(機能的アセスメント)が整理されているか。
- 支援の手順・環境調整・対応方針が具体的に書かれているか。
- 計画に沿った支援が実施され、その様子が日々の記録に残っているか。
- 定期的に振り返り、計画を見直すサイクルがあるか。
「計画はあるが記録が薄い」「記録はあるが計画と結びついていない」という分断は、せっかくの取り組みを算定根拠として活かせないもったいないパターンです。計画と記録が一本の線でつながっている状態を目指しましょう。
6. 現場が今やるべきチェックリスト
- □ 自社が狙える区分(Ⅰ/Ⅱ)を、研修修了者の人数・レベルから棚卸ししたか
- □ 対象児童の判定根拠(指標・アセスメント)を書面・データで残しているか
- □ 研修(基礎・実践)の修了者一覧と修了証を管理しているか
- □ 退職・異動による要件割れのリスクをモニタリングしているか
- □ 支援計画シートと日々の支援記録が連動しているか
- □ 上記の根拠資料を実地指導でそのまま提示できる状態か
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