児童発達支援

令和6年度 児童発達支援の基本報酬の考え方まとめ

公開:2026年6月 / 対象:管理者・児童発達支援管理責任者・運営法人 / 読了目安:約8分

令和6年度(2024年度)の障害福祉サービス等報酬改定では、児童発達支援(児発)の基本報酬の構造が大きく見直されました。それまでの「センター型/事業所型」「障害種別」という区分が整理され、支援の提供時間と内容・児童の状態像をより正確に反映するかたちに再編されています。加えて、令和7年4月からは支援プログラムの未公表減算も本格的に始まります。本記事は、児発の管理者・児童発達支援管理責任者(児発管)が「自社で何を確認すべきか」をつかむための実務要点整理です。

この記事の目次
  1. 令和6年度改定の全体像:児発に何が起きたか
  2. 児童発達支援の基本報酬:時間区分と類型の考え方
  3. 「主に重症心身障害児を支援する事業所」の扱い
  4. 専門的支援体制加算・専門的支援実施加算
  5. 個別サポート加算の取扱い
  6. 支援プログラムの未公表減算(令和7年4月1日〜)
  7. 現場が今やるべきチェックリスト

1. 令和6年度改定の全体像:児発に何が起きたか

今回の改定における最大の変化は、従来の「センター型」「事業所型」という事業所の形態による区分が廃止され、一本化された「児童発達支援」として統合されたことです。これにより、事業所の設立経緯や形態にかかわらず、共通の報酬体系・要件のもとで評価される仕組みになりました。

また、かつての「障害種別(難聴児・重症心身障害児等)」に基づく類型整理も見直され、支援の実態(提供時間・専門職の関与・ケアニーズ)に即した評価へと軸足が移っています。

改定の基本方向:「どんな事業所か」より「どんな支援を、どのくらいの時間、どのような専門性で提供したか」を評価する構造へのシフトです。形態による有利・不利ではなく、支援内容と記録の質が算定に直結するようになっています。

2. 児童発達支援の基本報酬:時間区分と類型の考え方

統合後の児童発達支援の基本報酬は、提供する支援の時間の長さに応じた区分を基軸として設計されています。短時間の支援と長時間の支援を同じ単価で評価しない、という考え方は放課後等デイサービスと共通です。

時間区分の基本イメージ

区分のイメージ主な対象・特徴
短時間区分(例:2時間未満等)比較的短い支援時間での個別療育・集団活動等
標準区分(例:2時間以上等)一般的な通所支援の時間帯
長時間区分より長い支援時間・ケアを要する場合等

※具体的な時間の境界や単位数は告示・報酬算定構造上の区分を必ず一次情報でご確認ください。

「通所支援」と「訪問支援」の整理

令和6年度改定では、居宅訪問型の支援についても児童発達支援の枠組みの中で整理が行われています。訪問型の支援を行っている・行う予定がある事業所は、通所型とは別の算定要件・単位数を確認する必要があります。

3. 「主に重症心身障害児を支援する事業所」の扱い

障害種別による類型が廃止された一方で、重症心身障害児を主な対象とする事業所については、ケアニーズの高さを反映した別の報酬上の評価が設けられています。「センター型の重症心身」「事業所型の重症心身」という旧来の区分ではなく、支援対象の実態に応じた評価体系への移行と理解するとよいでしょう。

実務ポイント:重症心身障害児の支援を行っている事業所は、旧来の算定根拠のまま請求を継続していないか、改めて確認することをおすすめします。統合による報酬体系の変更に伴い、算定できる加算・単位数が変わっている可能性があります。

4. 専門的支援体制加算・専門的支援実施加算

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・保育士・児童指導員等の専門職の配置と、その専門性を活かした支援の「実施」を分けて評価する体系が整理されました。放課後等デイサービスと同様の考え方が児発にも適用されています。

加算の種別評価の対象(イメージ)
専門的支援体制加算専門職を一定要件で配置していること
専門的支援実施加算その専門職が個別に専門的支援を実施したこと

「体制加算だけ取れている」「実施加算が取り損ねている」というケースは現場でよく見られます。専門職を配置しているのであれば、実施の都度、誰が・いつ・どのような支援を行ったかの記録フローまでセットで整備することが重要です。

典型的な漏れパターン:STやOTを配置して体制加算は算定しているが、個別の実施記録が残っておらず実施加算を請求できていない。専門職の関与を「支援記録」として残す運用が必要です。

5. 個別サポート加算の取扱い

ケアニーズの高い児童(医療的ケアを要する、行動上の課題がある、ケアの必要度が高い等)に対する支援を評価する個別サポート加算についても、令和6年度改定において対象の整理や要件の見直しが行われています。

「以前から算定しているから今も問題ない」と判断せず、改定後の要件と現状の算定根拠を一度照合することを強くおすすめします。

6. 支援プログラムの未公表減算(令和7年4月1日〜)

最重要・期限あり:支援プログラムを作成し、ウェブサイト等で公表していない場合、令和7年(2025年)4月1日以降、所定単位数の減算の対象となります。「作っただけで公表していない」「ウェブサイトに掲載したが更新が止まっている」も対象となり得るため注意が必要です。

この「未公表減算」は、放課後等デイサービスと児童発達支援の双方に適用されます。支援プログラムは事業所の支援の基本的な考え方・内容・目標を示すもので、作成・公表・維持のすべてが求められます。対応のステップはおおむね次の通りです。

  1. 事業所としての支援プログラムを作成する(内容の要件を確認すること)。
  2. 自社ウェブサイト等でそれを公表する(公表媒体の要件を確認すること)。
  3. 公表済みの状態を継続的に維持・更新する。

「令和7年4月を過ぎてから気づいた」「公表したつもりだったが要件を満たしていなかった」という事例は、制度変更の見逃しによる典型的な損失です。早めの対応と定期的な確認体制が重要です。

7. 現場が今やるべきチェックリスト

定期確認の仕組みが重要:一度確認しても、制度は改定のたびに変わります。「いつ・誰が制度変更をキャッチして現場に展開するか」という仕組みそのものを整えることが、長期的なリスク管理になります。

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言・個別の算定指導を構成するものではありません。実際の算定・運営にあたっては、厚生労働省・都道府県・市区町村等の一次情報および指定権者への確認をご自身でお願いいたします。